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「落窪物語」巻四(その49)

かくて、いと急がし。今参りども、日に二三人参りぬ。いと華やかなり。少将、これを見るにも、左の大臣おとどをいみじう思ふ。播磨のかみは、国にて、え知らざりければ、人をなむ遣りける。「左の大臣おとどの北の方、この君に、かうかうのことし出で給へり。この月のニ十八日になむ船に乗り給ふ。その国に着き給はむ、あるじ設け給へ」と言ひたれば、守喜び思ふこと限りなし。一つ腹の我だに婿取りせむとは思ひ寄らざりつるを、この君は、なほ我らを助け給はむとて仏神のし給ふ、と思ふ。国の守りののしりて、人々着くべき設けし給ふ。この守、母にも似で、よくなつきける。




こうして、帥たち(四の君の夫)が大宰府に下ることになったので、とても忙しくなりました。今参り([新参])の女房たちが、日に二三人参りました。とても華やかでした。少将(故大納言の三男)はありがたいことと思いました。播磨守(故大納言の長男)は、任地にあって、知らなかったので、人を遣って知らせました。「左大臣の北の方(落窪の君)が、四の君に、帥([大宰府の長官])である夫を世話しました。今月二十八日に船に乗られます。あなたの国に着いたら、宴を設けてください」と言うと、播磨守はとても喜びました。一つ腹([同母])の婿取りをするとは思っていなかったのに、落窪の君は、それ以上にわたしたちを助けようする神仏のようなものだ、と思いました。国守は大騒ぎで、船が着く準備を始めました。播磨守は、母に似ず、人当たりのよい人でした。


続く


by santalab | 2013-09-08 07:03 | 落窪物語

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