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「平家物語」勝浦(その1)

明けければ、なぎさには赤旗少々せうせうひらめいたり。判官はうぐわん、「すは我らがまうけをばしたりけるぞ。渚近うなつて、むまども追ひ下ろさんとせば、かたきまとになつて射られなんず。渚近うならぬさきに、船ども乗りかたぶけ乗り傾け、馬ども追ひ下ろし追ひ下ろし、船に引き付け引き付け泳がせよ。馬の足立ち、鞍爪くらづめひたるほどにもならば、ひたひたとうち乗つて、駆けよ、者ども」とぞ下知げぢし給ひける。五艘の船には、兵糧ひやうらう米積み、物の具入れたりければ、馬数五十ごじふ余匹ぞ立てたりける。案の如く渚近うなりしかば、船ども乗り傾け乗り傾け、馬ども追ひ下ろし追ひ下ろし、船に引き付け引き付け泳がす。




夜がすっかり明けると、渚には平家の赤旗が多少ひらめいていました。判官(源義経)は、「早くも我々を迎え撃つ準備をしておるとは。渚に近づいて、馬を下そうとすれば、敵の的になって射られるであろう。渚に近づく前に、船を傾け、馬を追い下して、船から離さぬように泳がせるのだ。馬の脚が立ち、鞍爪([鞍橋くらぼね前輪まへわ後輪しづわの両端])が浸るほどになれば、静かに馬に乗って、駆けよ、者ども」と命じました。五艘の船には、兵糧米を積み、武器を積んでいたので、馬数五十匹余りを乗ていました。計画通り渚近くになって、船を傾け、馬を追い下し、船に引き付けて泳がせました。


続く


by santalab | 2013-10-16 06:39 | 平家物語

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