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「平家物語」祇園女御(その9)

平家やがて続いて攻め給へば、そこをもつひに攻め落とされぬ。なほも続いて攻め給はば、三河みかは遠江とほたふみの勢は、容易う付くべかりしを、大将軍たいしやうぐん左兵衛さひやうゑかみ知盛とももり、労はりありとて、三河の国より都へかへり上られけり。今度もわづかに一陣いちぢんをこそ破られたれども、残党ざんたうを攻めざれば、させるしいだしたることなきが如し。平家は去去年きよきよねん小松の大臣おとどこうぜられぬ。今年こんねんまた入道にふだう相国しやうこく失せ給ひぬ。運命のすゑになることあらはなりしかば、年来恩顧のともがらほかは、従ひ付く者なかりけり。東国は草も木も、皆源氏にぞ靡きける。




平家はすぐに続けて攻めたので、そこも遂に攻め落としました。なおも続いて攻めていれば、三河(今の愛知県東部)遠江(今の静岡県西部)の勢は、容易く従い付いたはずでしたが、大将軍の左兵衛督知盛(平知盛。清盛の四男)は、病気になったと、三河国から都へ帰り上りました。今度の戦でもわずか一陣は破りましたが、残党を攻めなかったので、大した勝利にもなりませんでした。平家は一昨年に小松大臣(平重盛しげもり。清盛の嫡男)が亡くなりました。今年また入道相国(平清盛)が亡くなりました。運命の末は明らかになって、長年恩顧の者たちの他に、平家に従い付く者はいませんでした。東国では草も木も、皆源氏に同心しました。


続く


by santalab | 2013-11-13 20:00 | 平家物語

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