人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「保元物語」新院御謀反思し召し立つ事(その7)

新院、この御企てなりければ、鳥羽の田中殿を出させ給べき由を仰せられけるに、何と聞き分けたる事はなけれども、「何様、こ事の出来たるべきにこそ」とて、京中の貴賤・上下、資財・雑具を東西へ運び隠す。家々には門戸を閉ぢ、人々は兵具を集めければ、「こはいかに。たとひ新院国を奪はせ給へども、仙院晏駕あんがの後、わづかに十ケ日の内に、この御企て、宗の御計らひも計り難く、凡慮の推す処然るべからず。このほどは、雲の上には、星の位静かに、境の中には、波風も治まりつる御代に、かく切つて継だる様に、さはぎ乱るる事の悲しさよ」と人々歎き合へり。




新院(崇徳院)は、謀反の準備が整ったので、鳥羽の田中殿(白河院、鳥羽院の御所)を出るとおっしゃられました、どういう理由かは知りませんでしたが、「すべて、準備は終わったぞ」と言って、京中の貴賤の者・上下の者も、資材・道具を東西に運び隠しました。家々の門戸を閉じて、人々は兵具を集めたので、「これはどういうことだ。たとえ崇徳院が国を奪ったところで、鳥羽院が崩御して、わずか十日も経っていないうちに、謀反を起こしても、宗門がどちらにつくかわからないし、凡慮([凡人の考えること])が望むものではない。今回は、天上([雲の上]=[宮中])には、星座([星の位]=[三公])も落ち着いて、都の中の、波風も治まったこの世に、切って継ぐように、騒動が起きるのは悲しいことだ」と人々は嘆き合いました。


続く


by santalab | 2013-11-24 14:05 | 保元物語

<< 「保元物語」官軍方々手分けの事...      「保元物語」新院御謀反思し召し... >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧