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「平治物語」牛若奥州下りの事(その2)

母の常盤、清盛に思はれて、姫君一人まふけたりしが、すさめられて後は、一条の大蔵卿長成ながなり卿の北の方になりて、子ども数多あまた出で来たり。この遮那王しやなわうをば蓮忍れんにん覚日かくにちも、「出家し給へ」と言へば、「兄二人が法師になりたるだに無念なるに、左右なくはならじ。兵衛すけに申し合はせて」など申されけり。ゐて言へば、突き殺さん、刺し違へんなど、内々も言はれければ、師匠も常磐も、継父の大蔵卿も力及ばす。ただ平家の聞きをのみぞ嘆かれける。




母の常盤御前は、清盛(平清盛)に愛されて、姫君一人を設けましたが、愛想を尽かされて後は、一条の大蔵卿長成卿(一条長成)の妻となって、子どもがたくさん出来ました。遮那王(義経)に対して蓮忍も覚日も、「出家なさい」と言えば、遮那王(源義経)は、「兄二人(今若と乙若)が法師になっただけでも無念なのだから、何を言おうとわたしは僧にはならない。兵衛佐(源頼朝。義経の兄)に相談しなくては」などと答えました。強く言えば、突き殺す、刺し違えるぞなど、内々にも言ったので、師匠(蓮忍と覚日)も常盤御前も、継父の大蔵卿(長成)もどうしようもなく、ただ平家の耳に入ることだけが心配でした。


続く


by santalab | 2013-12-17 11:50 | 平治物語

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