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「水鏡」継体天皇(その2)

かくて、明くる年の正月に、越前国に応神おうじん天皇てんわうの五代の御孫の王おはすと云ふ事聞こえて、また、司々、御迎へにまゐりたりしに、この王、驚く御気色なくして、あぐらに尻をかけて、御前にさうらふ人々、畏まり敬ひ奉る事、朝廷おほやけの如くなりき。この御迎へに参りたる人々、いよいよ畏まりて、事の由をまうしき。王、このことを疑ひ給ひて、空しく二日二夜を過ぐさせ給ひき。御迎への人々、重ねて、大臣の迎へ奉る由、事の有様をまうし侍りし時に、京へ入り給ひしなり。さりながらも位を受け取り給はざりしかば、大臣をはじめてあながちに勧め奉りしかば、つひに位に即き給ひしなり。この御時、都遷り三度ありき。




そして、明くる年の正月に、越前国に応神天皇(第十五代天皇)の五代のお孫の王がおられると聞こえたので、また、司たちは、お迎えに参りましたが、この王は、まったく驚く気配もなく、あぐらをかいていました、御前の者たちは、畏敬しました、まるで朝廷のようでした。お迎えに参った者たちは、ますます畏まって、天皇としてお迎えすることを申し上げました。王は、これを疑って、空しく二日二夜が過ぎました。お迎えの者たちは、重ねて、大臣としてお迎えしたいと、申し上げたので、京へお入りになられました。けれども官位もお受け取りになられなかったので、大臣をはじめひたすら天皇にお即きになられるよう勧めて、遂に帝位に即かれたのでした。継体けいたいの時代に、都遷りが三度ありました。


続く


by santalab | 2014-02-01 12:04 | 水鏡

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