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「義経記」忠信吉野に留まる事(その1)

十六人思ひ思ひに落ちかかるところに、音に聞こえたるかうの者あり。先祖をくはしくたづぬるに、鎌足かまたりの大臣の御すゑ淡海公たんかいこう後胤こうゐん、佐藤憲高のりたかが孫、信夫しのぶの佐藤庄司しやうじが次男、四郎兵衛しらうびやうゑ藤原ふぢはら忠信ただのぶと言ふさぶらひあり。人もおほさうらふに、御前おまへに進み出で、雪のうへひざまづきてまうしけるは、「君の御有様と我らが身を物によくよくたとふれば、屠所としよに赴く羊歩々ぶぶの思ひもいかでかこれには勝るべき。君は御心安く落ちさせ給ひ候へ。忠信はこれに止まり候ひて、麓の大衆を待ち得て、一方いつぱうの防ぎ矢仕り、一先づ落としまゐらせ候はばや」と申しければ、




十六人思い思いに落ちて行くところに、名に聞こえる剛の者がいました。先祖を詳しく訪ねれば、鎌足大臣(藤原鎌足)の末孫で、淡海公(藤原不比等ふひと。鎌足の子)後胤([子孫])、佐藤憲高の孫、信夫佐藤庄司(佐藤基治もとはる)の次男、四郎兵衛藤原忠信という侍でした。人が多くいる中で、義経の御前に進み出て、雪の上にひざまずいて申すには、「君(源義経)の有様と我らの身の上を物に例えるならば、屠所([屠殺場所])に赴く羊の歩みもこれに勝りましょう。君は安心なさって落ちなさいませ。わたし忠信はここに留まって、麓の大衆([僧])を待ち、一方の防ぎ矢を射て、ひとまず破ってみせましょう」と申せば、


続く


by santalab | 2014-02-25 21:57 | 義経記

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