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「水鏡」称徳天皇(その2)

神護景雲じんごけいうん二年十月じふぐわつ二十日、道鏡だうきやう法皇ほふわうの位を授け給ひき。神護景雲三年七月に、和気清麻呂きよまろが姉の尼、偽りて八幡の宮の御託宣と云ひて、道鏡を位に即け給ひたらば、世の中大きによかるべき由をまうしき。道鏡この事を聞きて喜ぶ事限りなかりしほどに、八幡の宮、御門の御夢に見え給ひて、「我が国は昔より只人を君とする事は、いまだなき事なり。かく横様なる心あらん人をば、速やかに払ひ退くべし」とのたまはせしを、道鏡大きに怒りをなして、御門を勧め奉りて、清麻呂を御使ひとして宇佐の宮へ奉りて、この事を申し請はしめ奉りしに、託宣し給ひし事は、御門の御夢にいささかも違はざりしかば、清麻呂「この事きはまりなき大事なり。宣託ばかりは信じ難かるべし。なほそのしるしあらはし給へ」と祈り申ししかば、すなはちかたちを現はし給ひき。御丈三丈ばかりにて、望月の如くにて光輝き給へり。清麻呂、肝魂も失せて、え見奉らざりき。




神護景雲二年(768)の十月二十日、称徳しようとく天皇(第四十八代天皇)は道鏡に法皇の位を授けられました。神護景雲三年(769) の七月に、和気清麻呂の姉である尼(和気広虫ひろむし)が、偽って八幡宮(現大分県宇佐市にある宇佐神宮)の託宣と言って、道鏡を位に即ければ、世の中はたいそうよくなると申したからでした(これを奏上したのは、宇佐神宮の神官を兼ねていた大宰府天満宮の主神かんつかさ中臣習宜阿曾麻呂なかとみのすげのあそまろという者らしい。そこで称徳天皇は和気広虫を呼んで真偽を確かめようとしたが、長旅となるので弟の和気清麻呂を代わりに遣わしたそうな)。道鏡はこれを聞いてたいそうよろこびましたが、八幡宮(八幡大菩薩)が、称徳天皇の夢に現われて、「我が国は昔より只人を君とすることは、いまだかつてなかったことぞ。道鏡のように思うままに振る舞う者は、すみやかに追い払わねばならぬ」と申されたので、道鏡はたいそう怒り、称徳天皇に進言して、清麻呂を使いとして宇佐宮(宇佐神宮)に遣って、真偽を確かめるよう申しました、八幡大菩薩が託宣されたことは、称徳天皇の夢と少しも違わなかったので、清麻呂は「これは極めたる大事である。宣託だけでは信じる訳には参らぬ。ほかに霊験を顕してくださいませ」と祈りました、すぐに八幡大菩薩は姿を顕しました。背が三丈(約9m)ほどもあり、まるで望月([満月])のように光輝いていました。清麻呂は、肝魂を消して、まともに見ることもできませんでした。


続く


by santalab | 2014-03-19 10:13 | 水鏡

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