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「水鏡」称徳天皇(その3)

この時に重ねて託宣し給はく、「道鏡だうきやう、へつらへる幣帛を様々の神たちに奉りて、世を乱らんとす。我天の日嗣の弱くなり行く事を嘆き、悪しきともがらの起こり出でんとする事を憂ふ。彼は多く我は少なし。仏の御力を仰ぎて、御門の末を助け奉らんとす。すみやかに一切経([大蔵経])を書き、仏像を造り、最勝王経さいしようわうきやう一万巻を読み奉り、一つの伽藍を建てて、この悪しき心ある輩を失ひ給へとまうすべし。この事、一言も落とすべからず」とのたまはせき。清麻呂きよまろかへまゐりてこの由を申ししかば、道鏡大きに怒りて、清麻呂が官を取り、大隅の国へ流し遣はして、よぼろすぢを断ちてき。




この時八幡大菩薩は重ねて託宣して、「道鏡は、神に取り入るために幣帛を様々の神たちに奉り、世を乱そうとしておる。我は天の日嗣([天皇])の権力が弱くなっていくことを嘆き、悪い奴らが出てくることを悲しんでおる。奴らは数多く我はただ一人ぞ。仏の力を仰ぎ、称徳天皇の行く末を助けようと思う。速やかに一切経を書き、仏像を造り、最勝王経([金光明最勝王経こんこうみようさいしようわうきやう])一万巻を読んで、一つの伽藍([大寺院])を建てて、悪心ある奴らの命を失えと申すものである。このこと、一言なりとも忘れるでないぞ」ともうしました。清麻呂(和気清麻呂)は都に帰り称徳しようとく天皇(第四十八代天皇)の御前に参ってこれを奏すと、道鏡はたいそう怒って、清麻呂の官を剥奪し、大隅国へ流して、丁([第四位])になる道を断ちました(この時、和気清麻呂は従五位下だったらしい)。


続く


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by santalab | 2014-03-19 10:21 | 水鏡 | Comments(0)

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