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Santa Lab's Blog


「大鏡」序(その7)

世継『世間の摂政せつしやう関白くわんぱくと申し、大臣・公卿くぎやうと聞こゆる、古今いにしへいまの、皆、この入道にふだう殿の有様のやうにこそはおはしますらめとぞ、今様いまやうちごどもは思ふらむかし。されども、それさもあらぬことなり。言ひもていけば、同じ種一つすぢにぞおはしあれど、かど別れぬれば、人々の御心用ゐも、また、それに従ひて事々になりぬ。この世始まりて後、帝は先づ神の世七代を置き奉りて、神武天皇じんむてんわうをはじめ奉りて、当代たうだいまで六十八代にぞならせ給ひにける。すべからくは、神武天皇をはじめ奉りて、次々の帝の御次第を覚え申すべきなり。しかりと言へども、それはいと聞き耳遠ければ、ただ近きほどより申さむと思ふに侍り。




世継は『世の摂政・関白と申し、大臣・公卿([大臣・納言・参議])と呼ばれた、古今の人たちは、皆、今の入道殿(藤原道長みちなが)のように立派であられたと、今の若者たちは思っていることじゃろう。けれども、そのようなことはなかったのじゃ。先に申せば、同じ種一つ筋(藤原氏)であられても、一門を分けて、人々の思いも、また、それに従ってそれぞれになると言うものじゃ。この世が始まった後、帝はまず神の世が七代あって、神武天皇(初代天皇)が就かれてより、当代まで六十八代にぞなられるぞ。できれば、神武天皇から始めて、次々の帝のことを話したいがの。とは言え、それはずいぶん昔のことじゃ、近いところより話すことにいたそう。


続く


by santalab | 2014-03-28 00:15 | 大鏡

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