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「松浦宮物語」一(その23)

未央びあうの前殿に出で給ひて、この人々を召さる。衛府ゑふの司どもいつくしくぢんを引きて護り奉る中を分けて、御前にまゐるほど、先づ楽のこゑを調ふ。優れたる限りなれば、口惜くちをしき事なし。次に文など作りて、各々心見給ふに、この少将、ざえのほどを御覧ずるに、しうはあらず賢きはさるものにて、かたちのいとめでたきを御目止めて御覧ず。「歳いくらにかなる」と問ひ給へば、宰相、十七になる由をまうす。「まだいはけなかりけるほどを、いかでかばかり、はたありけむ」とあはれがらせ給ふ。




皇帝は未央宮(長安の南西部にあった宮殿。前漢に造られ唐代には宮廷の内にあったらしい)の前殿に出られて、弁少将たちを召されました。衛府の官人たちが美しく陣取り警固する中を分けて、御前に参ると、先づ楽の音が聞こえました。美しさは限りなく、申し分のないものでした。次に文([漢詩])を作り、各々の才能を見られましたが、弁少将の、才能をご覧になられて、その賢さはさるものながら、姿かたちがとても美しいので皇帝はじっとご覧になられていました。「歳はいくつか」と訊ねられたので、宰相(遣唐大使、参議安倍関麻呂せきまろ)が、十七になると答えました。「まだ幼いともいえるほどだが、どうしてこれほどに、優れておるのか」と感心されました。


続く


by santalab | 2014-05-18 11:04 | 松浦宮物語

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