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「太平記」資朝俊基関東下向の事付御告文の事(その4)

七月七日、今夜は牽牛けんぎう織女しよくぢよ二星じせい烏鵲うじやくの橋を渡して、一年の懐抱くわいばうを解く夜なれば、宮人きゆうじんの慣はし、竹竿ちくかんに願ひの糸を懸け、庭前ていぜん嘉菓かくわを列ねて、乞巧奠きつかうでんしゆする夜なれども、世上せじやう騒しき時節をりふしなれば、詩歌しいかを奉る騒人さうじんもなく、絃管げんくわん調しらぶる伶倫れいりんもなし。たまたま上臥うへぶししたる月卿雲客げつけいうんかくも、何となく世の中の乱れ、またが身のうへにか来たらんずらんと、たましひを消し肝を冷やす折節をりふしなれば、皆眉をひそおもてを垂れてぞさふらひける。




七月七日、今夜は牽牛・織女の二星が、烏鵲([かささぎ])の橋を渡って、一年の懐抱([思い])を叶える夜でしたので、宮人の習慣として、竹竿に願いの糸を掛け、庭前に嘉菓(祝いの菓子)を並べて、乞巧奠([女子が手芸・裁縫などの上達を祈ったもの])の節会を執り行う夜でしたが、世の中は騒がしく、詩歌を奉上する騒人([詩人])もなく、絃管を演奏する伶倫([伶人]=[楽人])もいませんでした。たまたま上臥し([宮中や院中で宿直とのゐすること])していた月卿雲客([公卿と殿上人])も、何とはなく世の中の乱れが、また誰の身の上に及ぶことかと、驚きおびえていましたので、皆眉をひそめ心配そうにうつむくばかりでした。


続く
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by santalab | 2014-05-22 08:37 | 太平記 | Comments(0)

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