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「太平記」正成首送故郷事(その3)

その後よりは、正行まさつら、父の遺言ゆゐごん、母の教訓けうくん心に染み肝に銘じつつ、ある時は童部わらんべどもを打ちたふし、首を捕る真似をして、「これは朝敵てうてきの首を捕るなり」と言ひ、ある時は竹馬に鞭を当てて、「これは将軍を追つ駆け奉る」なんど言ひて、はかなき手ずさみに至るまでも、ただこの事をのみわざとせる、心の内こそ恐ろしけれ。




その後は、正行(楠木正行。楠木正成の嫡男)は、父(正成)の遺言、母の教訓を心に刻み肝に銘じて、ある時は童部([子ども])たちを打ち倒し、首を捕るまねをして、「朝敵の首を捕ったぞ」と言い、ある時は竹馬に鞭を当てて、「将軍を追いかけるぞ」などと言って、取るに足らない遊びまでも、ただ武芸に励む、心の内はおそろしいものでした。


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by santalab | 2014-05-24 09:03 | 太平記 | Comments(0)

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