Santa Lab's Blog


「太平記」関所停止の事(その2)

君遥かに天下の飢饉を聞こし召して、朕不徳あらば、天我一人いちじんを罪すべし。黎民れいみん何の咎ありてか、このわざはひに逢へると、みづから帝徳の天に背ける事を歎き思し召して、朝餉あさがれひ供御ぐごを止められて、飢人窮民の施行せぎやうに引かれけるこそ難有けれ。これもなほ万民の飢ゑを助くべきに非ずとて、検非違使けびゐしの別当におほせて、当時富祐ふいうともがらが、利倍りばいの為にたくはへ積める米穀を点検して、二条町にでうまちに仮屋を建てられ、検使自ら断つて、あたひを定めて売らせらる。されば商買しやうばいともに利を得て、人皆九年きうねんたくはへあるが如し。




君(第九十六代後醍醐天皇)は遥かに天下の飢饉を聞かれて、わたしに不徳があれば、天は我一人を罰すればよい。黎民([黎元]=[人民])何の咎あって、この災いに遭わなくてはならぬと、帝徳が天に背くこと嘆き悲しみ、朝餉([天皇の日常の食事])の供御([食事])を止められて、飢人窮民の施行([僧侶や貧しい人に物を施し与えること])のことを思われていましたがありがたいことでした。これも万民の飢えの助けにはならないと、検非違使別当に命じて、当時富祐([金持ち])が、利倍([利益])を得るために畜えていた米穀を調べさせ、二条町に仮屋を建てて、検使([事実を見届けるために派遣される使者])を排除して、値段を定めて売らせました。こうして売買の者たちはともに利を得て、人は皆九年の畜えを得ました(不足がないこと)。


続く
[PR]
by santalab | 2014-05-24 09:25 | 太平記 | Comments(0)

<< 「太平記」関所停止の事(その3)      「太平記」関所停止の事(その1) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
返歌 草枕…に因んで短歌..
by 井上勇 at 23:54
ただおし出づるままに の..
by SiNa at 21:40
「義経記」の御紹介記事を..
by Magohati38 at 02:04
すばらしいサイト おかげ..
by johsei1129 at 23:54
青き花咲く大地 気高き..
by 北朝鮮の水爆に十神山も激怒 at 02:50
全然現代語訳できてない
by あ at 02:04
 その島根県(旧出雲国東..
by 民俗学者 at 23:34
うーん、松島からまた仙台..
by 五十嵐洋(秋田県大館市) at 00:51
「下野の室の八嶋にて待て..
by 八島 守 at 12:03
ひょんな事から、このブロ..
by yoshy at 18:50
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧