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「太平記」本朝将軍補任兄弟無其例事(その3)

その外宗との一族四十三人しじふさんにん、あるひは象外しやうぐわいの選に当たり、俗骨しよくこつたちまちに蓬莱の雲を踏み、あるひは乱階のしやうに依つて、庸才ようさい立ちどころに台閣たいかくの月をづ。しかのみならずその門葉そのもんえふたる者は、諸国の守護吏務りむを兼ねて、銀鞍ぎんあんいまだ解かず、五馬たちまちに策重山之雲、蘭橈らんねういまだ乾かず、巨船こせん遥かに棹滄海之浪。すべて博陸輔佐はくりくふさの臣も、これに向かつて上位を臨まん事を憚る。いはんや名家儒林めいかじゆりんともがらは、かの仁に連なつて下風かふうに立たん事を喜べり。




そのほか主だった一族の者四十三人、ある者は象外([現実の世界を超越したところ])の選に当たり、俗骨([卑しい生まれつき])の者たちはたちまち蓬莱([仙人が住むといわれていた仙境の一])の雲を踏み、ある者は乱階([順序を越えて位階を進めること])の賞によって、庸才([凡庸の才])は立ちどころに台閣([朝廷])の月(要職)に登りました。そればかりでなく門葉([一族])の者は、諸国の守護([国単位で設置された軍事指揮官・行政官])の吏務([役人としての職務])を兼ねて、銀鞍を解かないうちに、五馬([五馬を用意されるほどの官])はたちまちに重山の雲に馳せ、蘭橈([蘭の棹])が乾かないうちに、巨船は遥かに棹滄海([大海原])の浪に漕ぎ出るようなものでした。すべて博陸輔佐([博陸=天皇を補佐して政務を執行する職。に就く者])の臣も、足利一族に向かって上位を望むことを憚りました。言うまでもなく名家儒林([儒者])の者たちは、足利一族に連なって風下に立つことをよろこびました。


続く
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by santalab | 2014-05-25 10:47 | 太平記 | Comments(0)

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