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「太平記」新田義貞落越前府城事(その3)

かかるところに加賀の国の住人ぢゆうにん敷地しきぢ伊豆いづかみ・山岸新左衛門しんざゑもん上木うへき平九郎以下いげの者ども、畑六郎左衛門ろくらうざゑもんじよう時能ときよしが語らひに付いて、加賀・越前ゑちぜんの境、細呂木ほそろぎの辺に城郭じやうくわくを構へ、津葉つばの五郎が大聖寺だいしやうじの城を攻め落として、国中を押領あふりやうす。この時までは平泉寺へいせんじ衆徒しゆとら、皆二心なき将軍しやうぐん方にてありけるが、これもいかが思ひけん、過半くわはん引き分かれて宮方に与力申し、三峯みつみねと云ふ所へ打ち出で、城を構へて敵を待つところに、伊自良いじら次郎左衛門じらうざゑもんじよう、これにみして三百余騎にて馳せくははる間、近辺の地頭・御家人ら、防ぎ戦ふに力を失つて、皆己が家々に火を懸けて、府の陣へ落ち集まる。




そうこうしているところに加賀国の住人、敷地伊豆守・山岸新左衛門(山岸光義みつよし)・上木平九郎(上木家光いへみつ)以下の者たちが、畑六郎左衛門尉時能(畑時能。新田四天王の一人)に付いて、加賀・越前の境、細呂木(現福井県あわら市細呂木)の辺に城郭(細呂木館)を構え、津葉五郎(津葉清文きよふみ)の大聖寺城(現石川県加賀市にあった山城)を攻め落として、国中を押領([他人の物、所領などを力ずくで奪い取ること])しました。この時までは平泉寺(現福井県勝山市にあった寺)の衆徒([僧])たちは、皆二心なく将軍(足利尊氏)方(北朝)でしたが、これもどうかと思って、過半が引き分かれて宮方(第九十六代後醍醐天皇)に与力し、三峯(現福井県鯖江市)という所へ打ち出で、城(三峯城)を構えて敵を待つところに、伊自良次郎左衛門尉が、これに与みして三百騎余りで馳せ加わったので、近辺の地頭・御家人たちは、これらを防ぎ戦う気力を失って、皆自分の家々に火を懸けて、国府の陣へ落ち集まりました。


続く
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by santalab | 2014-05-25 21:59 | 太平記 | Comments(0)

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