Santa Lab's Blog


「太平記」師賢登山の事付唐崎浜合戦の事(その7)

海東が郎等らうとうこれを見て、「二人ににんしゆうを目のまへに討たせ、あまつさへ首を敵に捕らせて、生きて帰る者や可有」とて、三十六騎の者どもくつばみを並べて懸け入り、主の死骸を枕にして討ち死にせんと相争あひあらそふ。快実これを見てからからと打ち笑うて、「心得ぬものかな。御辺たちは敵の首をこそ捕らんずるに、御方の首を欲しがるは武家自滅の瑞相ずゐさう顕はれたり。欲しからば、すは取らせん」と云ふままに、持ちたる海東が首を敵の中へがはと投げ懸け、坂本様さかもとやうをがみ切り、八方を払うて火を散らす。三十六騎の者ども、快実一人に被切立て、馬の足をぞ立てかねたる。




海東(海東左近将監)の郎等([家来])はこれを見て、「二人の主を目の前で討たれ、その上に首を敵に捕られて、生きて帰れるものか」と言って、三十六騎の者どもは轡を並べて懸け入り、主の死骸を枕にして討ち死にしようと先を争いました。快実これを見てからからと打ち笑って、「不思議なこともあるものよ。お主たちは敵の首を捕る者だが、味方の首を欲しがるとは武家自滅の瑞相([前兆])の顕われか。欲しいのなら、そら取らせよう」というままに、持っていた海東の首を敵の中へ投げると、坂本様の拝み切り([坂本の地から、比叡山を振り仰いで拝むように、 太刀を両手で振りかざして切り下ろす姿勢])、八方を払って火を散らし戦いました。三十六騎の者どもは、快実一人に斬り立てられて、馬の足の休む間もありませんでした。


続く
[PR]
by santalab | 2014-06-02 08:37 | 太平記 | Comments(0)

<< 「太平記」師賢登山の事付唐崎浜...      「承久記」新院宮々流され給ふ事... >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
文中の両探題職は六波蘿探..
by aegean at 20:56
さらに付け加えますと、こ..
by 八島 守 at 09:03
おそらく「国民文庫」だと..
by santalab at 21:09
こんにちは。今日はSan..
by 佐藤綾乃 at 18:44
返歌 草枕…に因んで短歌..
by 井上勇 at 23:54
ただおし出づるままに の..
by SiNa at 21:40
「義経記」の御紹介記事を..
by Magohati38 at 02:04
すばらしいサイト おかげ..
by johsei1129 at 23:54
青き花咲く大地 気高き..
by 北朝鮮の水爆に十神山も激怒 at 02:50
全然現代語訳できてない
by あ at 02:04
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧