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「太平記」小弐与菊池合戦事付宗応蔵主事(その3)

郎等らうどう百余人も、堂の大床おほゆかに並み居て、同音に声を出だし、一度に腹をぞ切つたりける。その声天に響きて、非想非非想ひさうひひさう天までも聞こへやすらんとおびたたし。小弐が最末いとすゑの子に、宗応蔵主そうおうざうすと言ふ僧、しとみ遣戸やりどを踏み破りてたきぎとし、父が死骸をさうして、「万里碧天風高月明、為問慧公行脚事、踏翻白刃転身行、下火云、猛火重焼一段清」と、しづかに下火あこの仏事をして、そのほのほの中へ飛び入つて同じく死にぞ赴きける。




郎等([家来])百人余りも、持仏堂の大床([簀子縁の内側の床])に並んで、妙恵(小弐貞経さだつね)と同じく念仏を唱え、一度に腹を切りました。その声は天に響いて、非想非非想天([無色界の第四天で、三界の最頂部。生死の境地])までも聞こえるほどおびただしいものでした。小弐(貞経)の末子に、宗応蔵主という僧がいましたが、蔀([板戸])遣戸([引き戸])を踏み壊して薪とし、父(貞経)の死骸を火葬して、「万里の碧天([青空])に風は高く明るい月が上れば、慧公(恵公=妙恵)に行脚([仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ること])について訊ねようと思っていました、踏翻([すみずみまで、その辺際をつくすこと])どうして白刃持つ武士を捨てて修行の道に入ったのかと、下火([火葬のときに導師が遺体を焼く燃料に火をつけること])はこう答えるだけです、猛火([激しく燃え上がる火])に焼かれる度に一段と清くなるのだと」と、静かに下火の仏事(火葬)をすると、宗応蔵主はその炎の中に飛び入って同じく冥土に赴きました。


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by santalab | 2014-06-06 20:11 | 太平記 | Comments(0)

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