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「太平記」主上臨幸依非実事山門変儀の事付紀信事(その2)

さるほどに上林房阿闍梨じやうりんばうあじやり豪誉がうよは、元より武家へ心を寄せしかば、大塔おほたふの宮の執事、安居院あぐゐの中納言法印ほふいん澄俊ちようしゆんを生け捕りて六波羅へこれを出だす。護正院僧都ごしやうゐんそうづ猷全いうぜんは、御門徒の中の大名だいみやうにて八王子はちわうじの一の木戸を固めたりしかば、かくては叶はじとや思ひけん、同宿どうじゆく手の者引き連れて、六波羅へ降参かうさんす。これを始めとして、一人落ち二人落ち、落ち行きける間、今は光林房くわうりんばうの律師源存げんそん妙光房めうくわうばうの小相摸・中坊なかのばうの悪律師、三四人さんしにんより外は落ち止まる衆徒しゆともなかりけり。




やがて上林房阿闍梨豪誉は、元より武家(鎌倉幕府)に心を寄せていたので、大塔の宮(護良もりよし親王)の執事、安居院の中納言法印澄俊を生け捕って六波羅へつき出しました。護正院僧都猷全は、門徒の中の大名で八王子(八王子山。現滋賀県大津市にある日吉大社境内)の一の木戸を固めていましたが、こうなっては叶わないと思ったのか、同宿([同じ寺に住み、同じ師について修行する僧])の手の者を引き連れて、六波羅に降参しました。これを始めとして、一人落ち二人落ち、落ちて行ったので、今では光林房の律師源存・妙光房の小相摸・中坊の悪律師、三四人の外は落ち止まる衆徒([僧])はいませんでした。


続く
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by santalab | 2014-06-08 22:12 | 太平記 | Comments(0)

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