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「太平記」相摸入道弄田楽並闘犬の事(その4)

月に十二度じふにど犬合はせの日とて被定しかば、一族大名御内外様みうちとざまの人々、あるひは堂上だうじやうに座を列ね、あるひは庭前に膝をくつして見物す。時に両陣の犬どもを、一二百疋づつ放し合はせたりければ、入り違ひ追ひ合うて、上に成り下に成り、噛み合ふ声天を響かし地を動かす。心なき人はこれを見て、あら面白や、ただ戦ひに雌雄を決するに不異と思ひ、智ある人はこれを聞いて、あな忌々いまいましや、ひとへに郊原かうげんかばねを争ふに似たりと悲しめり。見聞けんもんなぞらふるところ、耳目雖異、その前相ぜんさう闘諍死亡とうじやうしばうの中にあつて、浅ましかりし振る舞ひなり。




月に十二度犬合わせ([闘犬])の日と定めて、一族大名身内外様の者たちは、ある者は堂上に座を列ね、ある者は庭前に座って見物しました。一度に両陣の犬どもを、一二百匹ずつ放つと、入り違い追い合って、上になり下になり、噛み合う声は天を響かし地を動かすほどでした。心ない者はこれを見て、面白いものよ、戦いで雌雄を決するのを見ているようだと思い、智恵ある者はこれを聞いて、なんともおぞましいことよ、まるで郊原([都の周辺])に戦い争って屍を作るのと同じではないかと悲しみました。見聞するに、耳目のままでしたが、前相([前兆])は皆闘諍([戦い争うこと])によって死ぬことを意味していましたが、なんとも嘆かわしい振る舞いでした。


続く
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by santalab | 2014-06-15 15:36 | 太平記 | Comments(0)

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