人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「曽我物語」大見・八幡を討つ事(その3)

すなはち、大見おほみ小藤太ことうだが許へ押し寄せたり。この者は、本より、心下がりたる者にて、八幡やはたが討たるるを聞きて、取るもの取り敢へず、落ちたりしを、狩野境かのざかひに追ひ詰めて、搦め捕りて、かわはたにて、首を刎ねたり。九郎は、二人が首を捕りて、父入道にふだうに見せければ、由々しくも振る舞ひたりとぞ感じける。曽我にありける河津かはづが妻女さいぢよも、喜ぶ事限りなし。祐清すけきよは、入道がいきどほりを止め、兄が仇を討ちし孝行かうかう一方ひとかたならぬ忠とぞ見えける。




伊東祐清すけきよはすぐに、大見小藤太の許に押し寄せました。この者は、本より、覚悟のない者でしたので、八幡(八幡行氏ゆきうぢ)が討たれたことを聞いて、取るものも取りあえず、逃げましたが、祐清は狩野境に追い詰めて、搦め捕って、狩野川(伊豆半島を流れる川)の端で、首を刎ねました。九郎(祐清)は、二人(八幡行氏・大見小藤太)の首を捕って、父入道(伊東祐親すけちか)に見せれば、よくやったと褒めました。曽我(現神奈川県小田原市)にいる河津(河津祐泰すけやす)の妻女も、たいそう喜びました。祐清は、入道(祐親)の怒りを止め、兄の仇を討った孝行は、並々ならぬ忠と思えました。


続く
by santalab | 2014-06-21 12:44 | 曽我物語

<< 「曽我物語」大見・八幡を討つ事...      「曽我物語」大見・八幡を討つ事... >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧