僧都は妹尼君の部屋を覗いて、「様子はどうだ。一体何の仕業だろう、物の怪の仕業ならばよくよく調伏せよ」と申しましたが、女はますます弱っていくようで、僧都の弟子たちは「命をつなぐことは叶いそうにない。思いがけず穢らいでここに籠もることになれば面倒だ」。「おそらく、たいそう身分の高い人だろう。亡くなっても捨て置くことはできないし。やっかいなことになったな」と言い合っていました。尼君は「静かになさい。大尼君に聞こえたらどうするのです。そうなればさらに面倒なことになりますよ」などと口止めして、「母が苦しむのを放っておいてでも、まずはこの人の命をなんとか助けなくては」と必死になって、片時もそばから離れず付き添いました。見知らぬ人でしたが、眉目この上なく美しい女でしたので、このまま死なせるのは惜しいことと、できる限りの世話をしました。
(続く)