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「増鏡」浦千鳥(その11)

正和しやうわ二年ふたとせになりぬ。今年御本意ほい遂げなんと思さる。長月の暮れつ方、賀茂に忍びて御籠りのほど、をかしき様のことども侍りけり。近くさぶらふ女房どもも、うちしほたれつつ、晦方つごもりがたの空の気色、いと物あはれなるに、御製ぎよせい

長月や 木の葉もいまだ つれなきに 時雨ぬ袖の 色や変はらん

また、
我が身こそ あらずなるとも 秋の暮 惜しむ心は いつも変はらじ




正和も二年(1313)になりました。伏見院(第九十二代天皇)は本意を遂げようと思われました。長月([陰暦九月])の終わり頃、賀茂(上賀茂神社?)に忍ばれてでお籠りになられましたが、いつにもないことがございました。近くに仕える女房たちも、時雨に降られて、晦方([月末])の空の景色は、たいそう物悲しげでございました、御製([天皇の作る詩文や和歌])、

長月の木の葉もまだ色付いておらぬのに、どうして時雨に濡れるこの袖ばかりが、涙色に染まるのであろうか。

また、
我が身がなくなろうとも、この秋の暮れを惜しむ心ばかりは、いつまでも残ることであろう。


続く


by santalab | 2014-08-21 20:37 | 増鏡

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