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「宇津保物語」俊蔭(その52)

かくて、この子、十二になりぬ。かたちの麗しく美しげなること、さらにこの世の者に似ず。綾、錦を着て、玉のうてなかしづかるる国王の女御、后、天女、天人よりも、かかる草木の根を食物 くひものにして、岩木の皮を着物にし、けだものを友として、木のうつほを住みかとして生ひ出でたれど、目もあやなる光添ひてなむありける。母も、父君添ひていつき傅きし時よりも、顔かたちは優りて、めでたきこと限りなし。この年来、ただこの猿どもに養はれて、こよなく便りを得たる心地するも、あはれなり。水は、はすの葉の大きなるに包みて、持て来。芋、野老ところ菓物 くだもの、様々なる物の葉に包みて、持て来集まる。




こうして、この子は、十二歳になりました。姿かたちの麗しく美しい様は、まったくこの世の者とは思えないほどでした。綾織りや、錦織りの着物を着て、玉の高殿で大切に育てられた国王の女御(天皇の妻)、后(皇太后、天皇の妻)、天女、天人よりもずっと美しく、まわりの草木の根を食べ物とし、樹木の皮を着物に、獣を友として、木のうつほを住みかとして育ちましたが、目にたくさんの光を添えてキラキラ輝いていました。母が、父(俊蔭)にとても大切に育ててられていた頃よりも、この子の顔かたちは優って、まことみごとなほどでした。この年頃には、猿たちに養われて、子は猿たちをこの上なく頼りにしていました、猿たちに愛されていたのです。猿たちは水を、大きな蓮の葉に包んで、持ってきました。山芋、野老(ヤマノイモ科)、果実は、いろいろな木の葉に包んで、持って子の許に集まりました。


続く


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by santalab | 2014-09-12 13:43 | 宇津保物語 | Comments(0)

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