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「増鏡」おどろのした(その12)

この千五百番の歌合の時、院のうへのたまふやう、「こたみは、皆世にりたる古き道の者どもなり。宮内卿はまだしかるべけれども、しうはあらずと見ゆめればなん。構へてまろがおもて起こすばかり、よき歌つかうまつれよ」とおほせらるるに、面うち赤めて、涙ぐみてさぶらひける気色、限りなき数寄のほども、あはれにぞ見えける。さてその御百首の歌、いづれもとりどりなる中に、

薄く濃き 野辺のみどりの 若草に 跡まで見ゆる 雪の村消え




この千五百番歌合の時、院の上(第八十二代後鳥羽院)が申されるには、「この度の歌合に呼んだのは、皆世に歌詠みとして許るされた和歌の道に長年携わった者たちよ。宮内卿(後鳥羽院宮内卿)はまだ若いが、けして劣ることはあるまいと思って呼んだのじゃ。力の限りわしが驚くばかりの、秀歌を披露せよ」と申されると、顔を赤らめて、涙ぐんだその表情は、限りない数寄のほどが、ありありと感じられるものでございました。さてその百首の歌、いづれもとりどりでございましたがその中に、

野辺の若草の緑ですが、薄いもの濃いものがございます。雪が早く消えたか残っていたのか、その跡がはっきりとわかります。


続く


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by santalab | 2014-09-14 10:40 | 増鏡 | Comments(0)

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