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Santa Lab's Blog


「とりかへばや物語」巻四(その2)

宮は、異人とはた思し寄るべきならねば、日来のおぼつかなさいぶせさなど、裏もなくうち解けてのたまはるもいと心苦しうて、くはしき有様なども聞こえさせまほしけれど、さすがにうち出んにつけてまばゆき事の様なれば、しばしうち思ひ廻らして、「日来も、いかがとおぼつかなく思ひ聞こえさせて、いつしか参り見奉らまほしく侍りながら、様々乱りがはしき人の上と思ひ給へ扱ひしほどに、今までになり侍りにけるも、心より外に」と、聞こえ出で給へる気配けはひたがふところなかりければいかでかは思しも寄らん。




春宮【女一の宮】は、尚侍が入れ替わっているとはまったく思っておられないようで、尚侍【姫君】は春宮が日頃の疑念不安など、正直に申されるのが心苦しくて、一つ残らずすべて話してしまいたいと思いましたが、いざ話そうとすると気が引けて、しばし思案して、「日頃、どれほどご心配なされておられることかと思っておりました、すぐにでも参内したいと思いながらも、あれやこれやと苦しみ多い身の上と悩んでおりますうちに、今になってしまいました、思いのほかに」と、話す雰囲気もかつての尚侍【若君】とまったく同じですれば、尚侍が入れ替わっていることを春宮【女一の宮】が気付くはずもありませんでした。


続く


by santalab | 2014-09-27 09:49 | とりかへばや物語

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