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「増鏡」烟の末々(その2)

上達部は、堀川の大納言具実ともざね直衣なほし、皇后宮の大夫隆親たかちか直衣、花山院の大納言定雅さだまさ、権大納言実雄さねをはなだの織物の狩衣、から野のきぬ、土御門の大納言顕定あきさだ、左衛門のかみ実藤さねふぢ薄青うすあを、衛門の督通成みちなり、枯野の織物の狩衣、別当定嗣さだつぐ直衣、雑色に野剣を持たせたり。皇后宮の権の大夫師家もろいへ、萌黄綾の狩衣、浮織物の指貫、紅のきぬ、土御門の宰相の中将雅家まさいへ、香の織物の狩衣かりぎぬ、御随身、居飼、御厩舎人まで、いかにせんと、色々を尽くす。院の御車の後ろに、権大納言公相きんすけ、緋紺の狩衣、紅の衣、白きひとへにて、えもいはぬ様さまして仕うまつり給ふ。検非違使・北面などまで、思ひ思ひに、いかで珍らしき様にと好みたるは、由々しき見物にぞ侍りし。衛府の上達部は、狩衣の随身に、弓、胡籙ころくを持たせたり。




上達部は、堀川大納言具実(堀川具実)は直衣([天皇以下,貴族の平常服])、皇后宮の大夫隆親(四条隆親)直衣、花山院の大納言定雅(花山院定雅)、権大納言実雄(洞院実雄)は、縹([明度が高い薄青色])の織物の狩衣、から野(枯野=薄くベージュがかった白?)の衣、土御門の大納言顕定(土御門顕定)、左衛門督実藤(室町実藤)は、薄青([表は薄青で裏は白または青、表は黄青で裏は青、表裏とも薄青など。四季通用])、衛門の督通成(中院通成)は、枯野の織物の狩衣、別当定嗣(葉室定嗣)は直衣で、雑色([蔵人所の下級官人。公卿の子弟や諸大夫が任じられた])に野剣([野太刀]=[公家の兵仗の太刀])を持たせておりました。皇后宮の権の大夫師家は、萌黄([黄緑色])綾の狩衣、浮織物([文様を浮き織りにした織物])の指貫([袴])、紅の衣、土御門の宰相中将雅家(北畠雅家)は、香([紋様として利用される縦線と横線からなる図柄])の織物の狩衣、御随身([平安以後、勅宣によって貴族の外出時に護衛として随従した近衛府の官人])、居飼([牛馬の世話をする役の者])、厩舎人([馬の世話をする者])まで、目に留まろうと、色々を尽くしておりました。院(第八十八代後嵯峨院)の車の後ろには、権大納言公相(西園寺公相)は、緋紺([緋]=[濃く明るい赤色]、[紺]=[紫色を帯びた濃い青色])の狩衣、紅の衣、白い単([裏をつけないで仕立てた衣類,特に長着])を着て、何とも華やかな姿で供に付いておりました。検非違使・北面([北面の武士]=[院の御所の北面に詰め、院中の警備にあたった武士])などまで、思い思いに、どうにかして目立とうとして、みごとな見物でございました。衛府の上達部は、狩衣の随身に、弓、胡籙([弓矢の羽を見えるようにして入れる道具])を持たせておりました。


続く


by santalab | 2015-01-17 11:33 | 増鏡

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