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「曽我物語」惟喬・惟仁の位争ひの事(その2)

月卿雲客げつけいうんかく、花の袂を重ね、玉のもすそを連ね、右近の馬場、供奉ぐぶせらる。この事、希代きたい勝事しようし天下てんがの不思議とぞ見えし。御子みこたちも、東宮の浮沈、これにありと見えし。しかれば、様々の御祈りどもありける。惟喬これたかの御祈りの師には、柿本かきのもと僧正そうじやう真済しんぜいとて、東寺の長者ちやうじや弘法こうぼふ大師の御弟子なり。惟仁これひと親王しんわうの御祈りの師には、我が山の住侶ぢゆうりよに、恵亮ゑりやう和尚くわしやうとて、慈覚じかく大師の御弟子にて、めでたき上人しやうにんにてぞ渡らせ給ひける。西塔さいたふ平等坊びやうどうばうにて、大威徳だいゐとくほふをぞ行ひける。




月卿雲客([公卿と殿上人])は、華やかな袂を重ね、煌びやかな裙を連ね、右近の馬場まで、お供いたしました。これは、希代の勝事、天下の不思議と思われました。皇子たちも、東宮の浮沈が、これによって決まると思っておりました。ですから、様々のお祈りがありました。惟喬親王の祈りの師には、柿本の紀僧正真済と申して、東寺(現京都市南区にある寺)の長者(東寺長者=東寺の最高責任者)で、弘法大師(空海)の弟子でした。惟仁親王の祈りの師には、我が山(比叡山延暦寺)の住侶([寺に住む僧侶])で、恵亮和尚と申して、慈覚大師(円仁ゑんにん。第三代天台座主)の弟子でした、霊験あらたかな上人でございました。西塔の平等坊で、大威徳の法([大威徳明王=五大明王の一で西方の守護神。を本尊として行う修法])を行いました。


続く


by santalab | 2015-02-14 09:08 | 曽我物語

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