思い遣こせば、やはり何の考えなしに行動する僕の性格は、これまでも、そしてこれからも変わらないようです。一つのことだけを見てまわりを気にしない彼女の性格もそのままです。彼女は美容師に戻り、あの頃のようにがんぱって働いています。夕季ちゃんも今は、小学二年生です。僕が初めて会った頃からすれば、もうしっかりしたお姉さんです。
『えっ、虹ヶ丘公園の話の続きは?』
あれから数えてもう五年、彼女と初めて出会った時からだと十年が過ぎました。その間には、そりゃ、いろんなことがありましたね。結構、平凡に暮らしていると思っているんですけれども。その話は、また時を改めたいと思います。でも、少しだけ話しておきましょうか。彼女が美容師に戻ったことはすでに話しましたが、僕もあの小さな会社を辞めて、今ではもっと小さな会社をやっています。まぁ、仕事は何も変わっていませんが。そして、ちょっと待ってくださいね。夕季ちゃんが学校から帰ってきました。
「おじさん、ただいま。」
(続く)