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「曽我物語」泰山府君の事(その2)

されば、大王だいわう、玉楼金殿に至り、常に遊覧いうらんす。ある時、大講堂かうだうの柱に、いたち二つ来たりて、泣き騒ぐ事、七日なり。大王、怪しみ給ひて、博士を召して、占はしむるに、考へて、奏聞す。「この柱の内に、七尺の人形にんぎやうあり。大王の形をことごとく作り移して、調伏てうぶくの壇を立て、幣帛へいはく供具ぐぐを供へたり。割りて見給へば、とうい七百人あり。滅ぼすべし」と言ふ。すなはち、大王上人しやうにんまうして、めでたき聖をしやうじ奉り、かの柱、割りて見給ふに、たがはず、すさまじきと言ふも余りあり。




そして、大王は、玉楼金殿を訪ねては、常に遊覧していました。ある時、大講堂([講堂]=[経典を講義したり、説法したりする寺院の建物])の柱に、鼬が棲みついて、鳴き泣き騒いで、七日となりました。大王は、怪しんで、博士を呼んで、占わせました、博士は占って、大王に奏聞しました。「この柱の中に、七尺(約2.1m)の人形があります。大王の姿そっくりに作り、調伏([害意のある者を修法により撃破すること])の壇を立て、幣帛([神前に供える物の総称])・供具([神や仏への供え物])もあります。割ってご覧なさいませ、とうい(東夷=古代中国で、東方に住む異民族に対する蔑称?)が七百人います。滅ぼすべきです」と言いました。すぐさま、大王は上人に伝えて、高徳の聖を集めて、この柱を、割って見れば、博士の言葉通りでした、恐ろしいと言うにも余りあるほどでした。


続く


by santalab | 2015-05-11 07:55 | 曽我物語

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