七番に、駿河の国の住人船越の八郎押し寄せ、十郎に高股切られて、引き退く。八番に、信濃の国の住人海野小太郎幸氏と名乗りて、五朗に渡り合ひ、しばし戦ひけるが、膝を割られて、犬居に伏す。九番に、伊豆の国の住人宇田の小四郎押し寄せ、十郎に打ち合ひけるが、いかがしけん、首打ち落とされて、二十七歳にて失せにけり。十番に、日向の国の住人臼杵の八郎押し寄せ、五朗に渡り合ひ、真つ向割られて、失せにけり。
七番に、駿河国の住人船越八郎が押し寄せ、十郎(曽我祐成)に高股([腿の上の方])を切られて、引き退きました。八番に、信濃国の住人海野小太郎幸氏(海野幸氏)と名乗って、五朗(曽我時致)に渡り合い、しばらく戦っていましたが、膝を割られて、犬居([四つん這い])に倒れ伏しました。九番に、伊豆国の住人宇田小四郎が押し寄せ、十郎(祐成)と打ち合いましたが、どうしたことか、首を打ち落とされて、二十七歳で失せました。十番に、日向国の住人臼杵八郎(臼杵惟信)が押し寄せ、五朗(時致)と渡り合い、真っ向([額])を割られて、失せました。
(続く)