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Santa Lab's Blog


「曽我物語」館館にて咎められし事(その3)

五朗ごらうは、木戸を立てられて、おほきに怒つて言ひけるは、「苦しからねば、とほるなり。苦しき者の振る舞ひを見よ。これこそ、る所へ強盗がうどうに入る者よ。止めんと思はん奴ばらは、組み止めよ。手には掛けまじきものを」と言ひければ、番の者ども、これを聞き、「夜番の兵士ひやうじは、何の用ぞや、斯様かやう狼藉らうぜきしづめん為なり。討ち止めよ」と追ひ掛けたり。五朗も、「心得たりや、事々し。掛かりて見よ」と言ふままに、太刀取りなほし、待ち掛けたり。




五朗(曽我時致ときむね)は、木戸を閉められて、たいそう怒って申すには、「怪しい者でないと申しておるではないか、ここを通るぞ。これが怪しい者の振る舞いというものよ。我らこそ、ある所に強盗に入る者ぞ。止めんと思う奴どもは、我らと組んで止めてみよ。どうせ手も出せない腰抜けどもであろう」と申せば、番の者どもは、これを聞き、「夜番の兵士が、何のためにおると思うておる、お前たちのような狼藉者を成敗するためぞ。やれ討ち止めよ」と追い掛けました。五朗(時致)も、「お前たちに捕まるものか、誰と思うておる。さあ掛かって来い」と言うままに、太刀を取り直し、待ち構えました。


続く


by santalab | 2015-07-12 08:36 | 曽我物語

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