今に思えば、走ってなんかいなかったのだろう。周りの景色がめまぐるしく移り変わるのを「走っている」せいだと錯覚していたけれど、ただ相手が去って行くだけのことであったに違いなく。
ならば、今のアタイが成さなければならぬことは、全速力で「約束の場所」まで進む(戻る?)ことなのではないか。そんな場所が定かにあるとも知れないけれども、「もしや」と思える場所へ。
でもそれって、過去に戻るってこと。時間を戻すことはできなくとも、同じ場所はまったく別の場所なんだと諦めないで。きっと、あの場所あの時からまた始められることを信じて。「忘れ物」を取りに帰ったあの日に。
あの扉を開けた時、扉の向こうには、何が待っているかな。