人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「曽我物語」朝妻狩座の事(その1)

れうは、青竹あをたけ下ろしのやかたに入り給ひぬ。かう長け、世人よひとしづまりけれども、御酒宴ありけり。朝綱ともつな、御気色ごきしよくまゐらんとて、取り取りの曲どもまうし御徒然慰め奉りけり。君、御さかづきを控へさせ給ひける時、鹿の音かすかに聞こゆる。「いづくぞ」と、御たづねありければ、「板鼻いたはなほとり」と申す。君聞こし召し、「いにしへの歌人も、「鹿の音近き 秋の山ごえ」とこそ詠みし。夏野に、鹿の鳴くこそ不思議なれ」とおほせ下されければ、




頼朝は、青竹下ろしの館に入りました。夜は更けて、世人は鎮まる頃、酒宴がありました。朝綱(宇都宮朝綱)は、機嫌伺いに参り、取り取りの曲([いろいろと変化する面白みやうまみ])を申して長々と慰めていました。君(源頼朝)が、盃を手に持った時、鹿の声がかすかに聞こえました。「どこからぞ」と、訊ねると、「板鼻(現群馬県安中市)の近くからでございましょう」と申しました。君はこれを聞いて、「昔の歌人も、「鹿の音近き 秋の山ごえ」と詠んでおるが。夏野に、鹿が鳴くとは不思議なことよ」と申しました、


続く


by santalab | 2015-08-15 10:46 | 曽我物語

<< 「曽我物語」朝妻狩座の事(その2)      「方丈記」二(その1) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧