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「太平記」楠出張天王寺の事付隅田高橋並宇都宮の事(その7)

両六波羅りやうろくはらこれを聞いて、安からぬ事に被思ければ、重ねて寄せんと被議けり。その頃京都余りに無勢ぶせいなりとて関東くわんとうより被上たる宇都宮治部の大輔たいふを呼び寄せ評定ひやうぢやうありけるは、「合戦の習ひ運に依つて雌雄替はる事いにしへよりなきにあらず。しかれどもこの度南方なんばういくさ負けぬる事、ひとへにしやうはかりごとの拙きに依れり。また士卒じそつ臆病おくびやうなるがゆゑなり。天下てんが嘲哢てうろう口を塞ぐに所なし。就中に仲時なかとき罷り上りし後、重ねて御上洛しやうらくの事は、凶徒もし蜂起せば、御向かひ合つて静謐せいひつさふらへとの為なり。今の如きんば、敗軍の兵を駆り集めて幾度向けて候ふとも、はかばかしき合戦しつとも不覚候ふ。かつうは天下の一大事、この時にて候へば、御向かひ候ひて御退治たいぢ候へかし」とのたまひければ、




両六波羅(北条仲時なかとき、南方北条時益ときます)はこれを聞いて、安からぬ事と思い、重ねて攻めることにしました。その頃京都はあまりに無勢だと関東より上らせた宇都宮治部大輔(宇都宮公綱きんつな)を呼び寄せ評定がありました、「合戦というものは運によって勝ち負けが決まること昔よりなかったこともない。けれどもこの度南方の軍に負けたことは、ひとえに大将の戦略がおそまつであったからよ。また士卒があまりにも臆病であったせいでもある。天下の嘲哢というもの口を塞ぐことはできぬ。この仲時(北条仲時)が上った後に、重ねて上洛させたのは、凶徒が蜂起したならば、兵を向かわせこれを鎮めるためぞ。このままでは、敗軍の兵を駆り集めて幾度兵を差し向けたところで、合戦に勝つことはできぬであろう。今が天下の一大事、今こそ、出で向かって敵を退治してほしいのだが」と申しました、


続く


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by santalab | 2015-11-11 07:22 | 太平記 | Comments(0)

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