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「太平記」奥州国司顕家卿並新田徳寿丸上洛の事(その3)

鎌倉の管領くわんれい足利左馬のかみ義詮よしあきらこの事ことを聞き給ひて、上杉民部の大夫・細川阿波あはかみかうの大和の守、その外武蔵・相摸の勢八万余騎を相副あひそへて、利根川とねがはにて支へらる。さるほどに、両陣の勢東西の岸に打ち臨んで、かたみにこれを渡さんと、渡るべき瀬やあると見ければ、その折節をりふし余所の時雨しぐれに水増して、逆波さかなみ高くみなぎり落ちて、浅瀬はさてもありやなしやと、事問ふべき渡し守さへなければ、両陣ともに水の干落ひおつるほどを相待あひまちて、いたづらに一日一夜は過ぎにけり。




鎌倉管領([将軍に次ぐ最高の役職])足利左馬頭義詮(足利義詮)はこれを聞いて、上杉民部大夫(上杉朝房ともふさ)・細川阿波守(細川和氏かずうぢ)・高大和守(高重茂しげもち)、そのほか武蔵・相摸の勢八万余騎を引き連れて、利根川でこれを防ぎました。やがて、両陣の勢は東西の岸に打ち臨んで、互いに川を渡ろうとして、渡るべき瀬があるかと見れば、折節余所の時雨で水嵩が増して、逆波高く勢いは増して、浅瀬はあるかと、訊ねる渡し守もいませんでした、両陣ともに水が引くのを待って、いたずらに一日一夜が過ぎました。


続く


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by santalab | 2015-11-25 18:18 | 太平記 | Comments(0)

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