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「太平記」奥州国司顕家卿並新田徳寿丸上洛の事(その6)

これを見て、奥州あうしうの勢十万じふまん余騎、一度に打ち入れて、真つ一文字に渡せば、鎌倉勢八万余騎、同時に渡し合はせて、川中にて勝負を決せんとす。されども先づ一番に渡しつる奥勢おくぜいの人馬に、東岸とうがんの流れかれて、西岸の水の早き事、あたか竜門三級の如くなれば、鎌倉の先陣三千余騎、馬筏むまいかだを押し破られて、浮きぬしづみぬ流れ行く。後陣ごぢんの勢はこれを見て、適はじとや思ひけん、川中より引つかへして、平野に支へて戦ひけるが、引き立ちける



これを見て、奥州の勢十万余騎は、一度に川に馬を打ち入れて、真つ一文字に渡ったので、鎌倉勢八万余騎も、同時に渡し合わせて、川中で勝負を決しようとしました。けれどもまず一番に渡った奥州勢の人馬に、東岸の流れは堰き止められて、西岸の水の早さは、あたかも竜門三級(中国の夏王朝を開いたが黄河の治水をした際、上流の竜門山を三段に切り落としたため三段の瀑布ができたという。この竜門三級を登りきった魚は竜となって雲を起こし天に昇るという)のようでした、鎌倉の先陣三千余騎は、馬筏を押し破られて、浮き沈みながら流れて行きました。後陣の勢はこれを見て、渡るのは無理だと思い、川中より引っ返して、平野で防ぎ戦いましたが、引き立ち([逃げ腰])の軍でしたので、右往左往に駆け散らされて、皆鎌倉へ引き返しました。


続く


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by santalab | 2015-11-26 07:39 | 太平記 | Comments(0)

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