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「太平記」青野原軍事付嚢沙背水事(その7)

「さらば時刻を移さず向かへ」とて、大将軍にはかう越後ゑちごかみ師泰もろやす・同じき播磨の守師冬もろふゆ・細川刑部ぎやうぶの大輔頼春よりはる・佐々木の大夫判官はうぐわん氏頼うぢより・佐々木の佐渡の判官入道道誉だうよ・子息近江あふみの守秀綱ひでつな、この外諸国の大名五十三人ごじふさんにん都合つがふその勢一万余騎、二月四日都を立ち、
同じき六日の早旦さうたんに、近江あふみと美濃とのさかひなる黒地川くろぢがはに着きにけり。奥勢も垂井たるゐ・赤坂に着きぬと聞こへければ、ここにてあひ待つべしとて、前には関の藤川ふじかはを隔て、後ろには黒地川を当てて、そのあひだに陣をぞ取つたりける。そもそも古より今に至るまで、勇士猛将の陣を取つて敵を待つには、後ろは山により、前は水をさかふ事にてこそあるに、今大河を後ろに当てて陣を取られける事はまた一つの兵法ひやうはふなるべし。




「ならば時を移さず向かえ」と、大将軍には高越後守師泰(高師泰)・同じく播磨守師冬(高師冬)・細川刑部大輔頼春(細川頼春)・佐々木大夫判官氏頼(佐々木氏頼)・佐々木の佐渡判官入道道誉(佐々木道誉)・子息近江守秀綱(佐々木秀綱)、この外諸国の大名五十三人都合その勢一万余騎で、二月四日に都を立ち、同じ二月六日の早旦に、近江と美濃との境黒地川(黒血川=藤古川。現滋賀県米原市と岐阜県不破郡関ケ原町及び大垣市を流れる木曽川水系の河川)に着きました。奥州勢も垂井(現岐阜県不破郡垂井町)・赤坂(現岐阜県大垣市)に着いたと聞こえたので、ここで待とうと、前には関の藤川(現岐阜県不破郡関ヶ原町にある不破ふは関付近を流れる藤古川)を隔て、後ろには黒地川を当てて、その間に陣を取りました。そもそも古より今に至るまで、勇士猛将が陣を取って敵を待つには、後ろは山、前は水を境にするものでしたが、今大河を後ろに当てて陣を取ったのも一つの兵法でした。


続く


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by santalab | 2015-11-29 07:55 | 太平記 | Comments(0)

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