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「太平記」青野原軍事付嚢沙背水事(その9)

夜明けければ、項羽かううの兵四十万騎しじふまんぎにて押し寄せ、敵を小勢なりとあなどつて戦ひを即時に決せんとす。その勢参然として左右を不顧懸かりけるを、韓信が兵三千余騎、一足も引かず死を争うて戦ひけるほどに、項羽忽ちに討ち負けて、討たるる兵二十万人、逃ぐるを追ふ事五十ごじふ余里なり。沼をさかひ沢を隔てて、ここまでは敵よも懸くる事得じと、橋を引きてぞたりける。




夜が明けると、項羽(秦末期の楚の武将。秦に対する造反軍の中核となり秦を滅ぼした)は兵四十万騎で押し寄せ、敵を小勢だと侮って戦いを即時に決しようとしました。その勢はそれぞれ思い思いに攻め懸かりましたが、韓信(中国秦末から前漢初期にかけての武将。劉邦の臣下)の兵三千余騎は、一歩も引かず死を争って戦ったので、項羽はたちまちにして討ち負けて、討たれる兵は二十万人、韓信は逃げる兵を追って五十余里に及びました。項羽は沼に囲まれ沢を隔て、ここまで敵がまさか攻めてはこないであろうと思われる場所に、橋を引いて陣を取りました。


続く


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by santalab | 2015-11-29 08:02 | 太平記 | Comments(0)

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