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「太平記」谷堂炎上事(その1)

千種のとう中将ちゆうじやうは西山の陣を落ち給ひぬと聞こへしかば、翌日四月九日、京中の軍勢、谷の堂・峰の堂已下いげ浄住寺・松の万石大路まんごくおほち葉室はむろ・衣笠に乱れ入つて、仏閣神殿を打ち破り、僧坊民屋そうばうみんをく追捕つひふし、財宝を悉く運び取つて後、在家に火を懸けたれば、時節をりふし魔風まかぜ烈しく吹いて、浄住寺・最福寺さいふくじ・葉室・衣笠・三尊院さんそんゐん、総じて堂舎だうしや三百余箇所、在家五千余宇、一時に灰燼くわいじんと成つて、仏像・神体・経論きやうろん聖教しやうげう、忽ちに寂滅じやくめつけぶりと立ち上る。




千種頭中将(千種忠顕ただあき)は西山の陣を落ちたと聞こえたので、翌日四月九日、京中の軍勢は、谷の堂・峰の堂をはじめ浄住寺(現京都市西京区にある寺院)・松尾(現京都市西京区にある松尾大社)・万石大路・葉室(現京都市西京区)・衣笠(現京都市北区)に乱れ入って、仏閣神殿を打ち破り、僧坊民屋を追捕([奪い取ること])し、財宝を残らず運び取った後、在家に火を懸けました、ちょうど魔風([悪魔の吹かせる不吉な風])が激しく吹いていたので、浄住寺・最福寺(現京都市西京区にあった寺院)・葉室・衣笠・三尊院(二尊院?)、合わせて三百余箇所、在家五千余宇が、一時に灰燼となって、仏像・神体・経論([仏の教えを記した経と、経の注釈書である論])・聖教([仏教経典])は、たちまちに寂滅([消えてなくなること])の煙となって立ち上りました。


続く


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by santalab | 2015-12-12 12:36 | 太平記 | Comments(0)

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