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「太平記」六波羅攻の事(その4)

対馬のかみ最愛の猶子を目の前に討たせて、なじかは命を可惜、大高だいかうに組まんと諸鐙もろあぶみを合はせて馳せ懸かるところに、河野が郎等らうどうどもこれを見て、しゆを討たせじと三百余騎にてをめゐて懸かる。源氏また大高を討たせじと、一千余騎にて喚いて懸かる。源平互ひに入り乱れて黒煙くろけぶりを立てて攻め戦ふ。官軍くわんぐんおほく討たれて内野うちのへはつと引く。源氏新手を入れ替へて戦ふに、六波羅勢若干そくばく討たれて河原かはらへさつと引けば、平氏新手を入れ替へて、ここを先途せんどと戦ふ。一条・二条にでうを東西へ、追つつかへしつ七八度がほどぞ揉み合ひたる。源平両陣もろともに、互ひに命をしまねば、剛臆がうおくいづれとは見へざりけれども、源氏は大勢なれば、平氏遂に打ち負けて、六波羅を指して引き退く。




対馬守河野通盛みちもり)は最愛の猶子を目の前で討たれて、どうして命が惜しかろう、大高(大高重成)と組もうと諸鐙を合わせて馳せ懸かるところに、河野の郎等([家来])どもはこれを見て、主を討たせまいと三百余騎で叫んで懸ました。源氏もまた大高(重成)を討たせまいと、一千余騎で喚いて懸かりました。源平互いに入り乱れて黒煙を立てて攻め戦いました。官軍は多く討たれて内野([大内裏])にぱっと引き退きました。源氏は新手を入れ替えて戦うと、六波羅勢は若干討たれて河原へさっと引けば、平氏(幕府方)も新手を入れ替えて、ここを先途([瀬戸際])と戦いました。一条・二条を東西へ、追いつ追われつ返し合わせて七八度も揉み合いました。源平両陣もろともに、互いに命を惜しまず戦ったので、剛臆([剛勇と臆病])いずれとも見えませんでしたが、源氏(官軍)は大勢でしたので、平氏は遂に打ち負けて、六波羅を指して引き退きました。


続く


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by santalab | 2015-12-14 08:00 | 太平記 | Comments(0)

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