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「太平記」三浦大多和合戦意見の事(その1)

懸かりし程に、義貞も無為方思し召しけるところへ、三浦大多和平六左衛門義勝よしかつは、兼ねてより義貞に心ざしありしかば、相摸の国の勢松田・河村かうむら土肥とひ・土屋・本間・渋谷を具足して、以上その勢六千余騎、十五日の晩景ばんげいに、義貞の陣へ馳せ参る。義貞おほきに悦びて、急ぎ対面あつて、礼を厚くし、席を近付けて、合戦の意見をぞ被訪ける。平六左衛門畏つてまうしけるは、「今天下二つに分れて、互ひの安否を合戦の勝負に懸けたる事にて候へば、その雌雄十度も二十も、などかなくては候ふべき。ただし始終の落居は天命の帰する処にて候へば、遂に太平を被致事、何の疑ひか候ふべき。御勢に義勝が勢を合はせて戦はんに、十万じふまん余騎、これもなほ敵の勢に不及候と云へども、今度の合戦に一勝負せでは候ふべき」と申しければ、義貞も、「いさとよ、当手たうてたかれたるつはものを以つて、大敵の勇み誇つたるに懸からん事は、如何」とのたまひけるを、




こうして、義貞(新田義貞)はどうすべきかと思い悩んでいるところへ、三浦大多和平六左衛門義勝(三浦義勝)は、かねてより義貞に心を寄せていたので、相摸国の勢松田・河村・土肥・土屋・本間・渋谷を引き連れて、以上その勢六千余騎で、十五日の晩景([夕刻])に、義貞の陣へ馳せ参りました。義貞はたいそうよろこんで、急ぎ対面し、厚く礼を申して、席を近付けて、合戦の意見を訊ねました。平六左衛門(義勝)が畏って申すには、「今天下は二つに分かれて、互いの安否を合戦の勝負にかけておりますれば、その雌雄を決するには軍を十度も二十も、なさねばなりません。ただし始終の落居は天命に帰するところでございますれば、遂には太平となりますこと、何の疑いもないところでございます。御勢に義勝の勢を合わせて戦えば、十万余騎、これでもなお敵の勢には及びませんが、今度の合戦で一勝負しないわけには参りません」と申せば、義貞も、「分かっておるが、当手の疲れた兵で、大敵の勇み誇る兵に懸かるのは、どうであろうか」と申しました、


続く


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by santalab | 2016-01-02 08:01 | 太平記 | Comments(0)

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