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「太平記」龍泉寺軍の事(その4)

これを見て桔梗一揆の衆に日吉藤田兵庫ひやうごの助・内海うつみ修理しゆりすけ光範みつのり、城戸を引き破つて込み入る。城の中のつはものども、暫く支へて戦ひけるが、敵の大勢に御方の無勢ぶせいかへりみて、叶はじとや思ひけん、心閑こころしづかに防ぎ矢射て、赤坂を差して落ち行きける。暫くあれば、陣々に集まり居たる大勢ども、「すはや桔梗一揆が竜泉へ寄せて責めけるは。ただしたやすくはよも責め落とさじ。楯の板締めせ、射手を先立てよ」と、いと騒がず打つ立て、その勢すでに十万じふまん余騎、竜泉の麓へ打ち向かひたれば、城は早やすでに責め落とされて、櫓掻楯かいだてに火を懸けけり。数万の軍勢かしらを掻いて、「安からぬものかな、これほどまで敵小勢なるべしとは知らで、土岐・細川に高名をさせつる事の心地悪しさよ」と、牙をまぬ者はなかりけり。




これを見て桔梗一揆の衆に日吉藤田兵庫助・内海修理亮光範も、城戸を引き破って城へ入りました。城の中の兵どもは、しばらく防ぎ戦いましたが、敵の大勢に味方の無勢を顧みて、敵わないと思ったか、防ぎ矢を射て、赤坂(現大阪府南河内郡千早赤阪村)を指して落ちて行きました。しばらくあって、陣々に集まっていた大勢どもは、「なんと桔梗一揆が竜泉城に寄せて攻めておるぞ。だが容易くは攻め落とせぬであろう。楯の板を隙間なく並べよ、射手を先立てよ」と、急ぐことなく打ち立って、十万余騎の勢が、竜泉城(現大阪府富田林市)の麓に向かいましたが、城はすでに攻め落とされて、櫓掻楯に火が懸けられていました。数万の軍勢は頭を掻いて、「まんまと騙されたわ、これほど敵が小勢であるとは知らずに、土岐(土岐桔梗一揆)・細川(細川清氏きようぢ)に高名されるとはしゃくなことよ」と、歯ぎしりしない者はいませんでした。


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by santalab | 2016-01-06 18:34 | 太平記 | Comments(0)

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