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「太平記」中宮御産御祈之事付俊基偽篭居の事(その2)

加様かやうに功を積み、日を重ねて、御祈りの精誠せいぜいを尽くされけれども、三年までかつて御産ごさんの御事はなかりけり。後に子細をたづぬれば、関東調伏てうぶくの為に、事を中宮の御産に寄せて、加様に秘法を修せられけるとなり。これほどの重事ちようじを思し召し立つ事なれば、諸臣の異見をも窺ひたく思し召しけれども、事多聞たぶんに及ばば、武家に漏れ聞こゆる事やあらんと、憚り思し召されけるあひだ深慮智化しんりよちくわの老臣、近侍の人々にもおほせ合はせらるる事もなし。ただ日野の中納言資朝すけとも蔵人くらうど右少弁俊基としもと四条しでうの中納言隆資たかすけゐんの大納言師賢もろかた・平宰相さいしやう成輔なりすけ計りに、潛かに仰せ合はせられて、さりぬべきつはものを召されけるに、錦織にしこり判官代はんぐわんだい足助あすけの次郎重成しげなり、南都北嶺の衆徒しゆと、少々勅定ちよくぢやうに応じてげり。




こうして功徳を積み、日を重ね、祈願に精誠([混じり気のない誠意])を尽くしましたが、三年間御産はありませんでした。後に詳細を聞けば、関東(鎌倉幕府)調伏のために、中宮の御産のためと偽って、秘法を修せられたということです。これほどの重事を思し召し立った以上、諸臣の異見をも窺いたいと思われましたが、多聞に及べば、武家に漏れ聞こえることもあろうかと、憚り思われて、深慮智化の老臣、近侍の人々にも訊ねることはありませんでした。ただ日野中納言資朝(日野資朝)・蔵人右少弁俊基(日野俊基)・四条中納言隆資(四条隆資)・尹大納言師賢(尹師賢)・平宰相成輔(平成輔)ばかりに、密かに仰せられて、相応の兵を集めさせました、錦織判官代、足助次郎重成(足助重成)、南都(奈良)北嶺(比叡山)の衆徒([僧])が、わずかに勅定に応じました。


続く


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by santalab | 2016-01-07 07:27 | 太平記 | Comments(0)

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