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「太平記」笠置軍事付陶山小見山夜討事(その10)

これより後は、寄せ手雲霞の如しといへども、城を攻めんと云ふ者一人もなし。ただ城の四方しはうを囲めて遠攻とほぜめにこそしたりけれ。かくて日数を経けるところに、同じき月十一日、河内の国より早馬はやむまを立てて、「楠木兵衛ひやうゑ正成まさしげと云ふ者、御所方に成つて旗を挙ぐる間、近辺の者ども、心ざしあるは同心し、心ざしなきは東西に逃げ隠る。すなは国中こくぢゆう民屋みんをく追捕ついふして、兵粮ひやうらうの為に運び取り、己がたちの上なる赤坂山あかさかやま城郭じやうくわくを構へ、その勢五百騎にて立て篭もり候ふ。「御退治たいぢ延引せば、事御難儀に及びさふらひなん。急ぎ御勢を可被向」とぞ告げまうしける。




これより後は、寄せ手は雲霞の如く大勢でしたが、城を攻めようと言う者は一人もありませんでした。ただ城の四方を囲めて遠攻めにしました。こうして日数を経るところに、同じ九月十一日、河内国より早馬を立てて、「楠木兵衛正成(楠木正成)という者、御所方になって旗を上げました、近辺の者どもは、心ざしある者は同心し、心ざしない者は東西に逃げ隠れました。たちまち国中の民屋を追捕([没収])して、兵粮として運び取り、己の館の上の赤坂山(現大阪府南河内郡千早赤阪村)に城郭を構え、その勢五百騎で立て籠もりました。「退治が延引すれば、事は難儀に及びましょう。急ぎ勢を差し向けられますよう」とぞ告げ申しました。


続く


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by santalab | 2016-01-18 20:13 | 太平記 | Comments(0)

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