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「太平記」笠置軍事付陶山小見山夜討事(その17)

ここにて一息休めて、各々屏を上り越え、夜廻よまはりの通りける迹に付いて、先づ城の中の案内をぞ見たりける。追ふ手の木戸・西の坂口をば、伊賀・伊勢のつはもの千余騎にて堅めたり。搦め手に対する東の出屏だしべいの口をば、大和・河内かはちの勢五百余騎にて堅めたり。南の坂、仁王堂にわうだうの前をば、和泉いづみ紀伊の国の勢七百余騎にて堅めたり。北の口一方いつぱうけはしきを被憑けるにや、警固の兵をば一人いちにんも不被置、ただ云ひ甲斐かひなげなる下部ども二三人、櫓の下にこもを張り、かがりを焚いて眠りたり。




ここで一息吐いて、各々屏を上り越え、夜廻りが通るその後に付いて、まず城の中の案内を見て回りました。追手([大手]=[敵の正面を攻撃する軍勢])の木戸・西の坂口は、伊賀・伊勢の兵が千余騎で固めていました。搦め手([城の裏門や敵陣の後ろ側を攻める軍勢])に当たる東の出塀の口は、大和・河内の勢五百余騎で固めていました。南の坂、仁王堂の前は、和泉・紀伊の国の勢七百余騎が護っていました。北の口一方は険しさを頼りにしたのか、警固の兵は一人も置かず、頼りにもならないような下部ども二三人が、櫓の下に薦([むしろ])を張り、篝火を焚いて眠っていました。


続く


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by santalab | 2016-01-20 23:25 | 太平記 | Comments(0)

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