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「太平記」三角入道謀反事(その3)

寄せ手いよいよ勝つに乗つて続いて城へけ入らんとす。つのじやうより木戸を開いて、同時に打ち出でて、前後左右より取り篭めて散々に射る。森・高橋・三吉が兵百余人、痛手を負ひ、石弓に被打、進み兼ねたるを見て、越後ゑちごかみ、「三吉討たすな、あれ続け」と被下知ければ、山口の七郎左衛門しちらうざゑもん、赤旗・小旗・大旗の一揆、千余騎抜き連れて懸かる。荒手の大勢に攻め立てられて、敵皆城中じやうちゆうへ引き入れば、寄せ手皆逆茂木のきはまで攻め寄せて、掻楯かいだて掻ひてぞ居たりける。手合はせの合戦に打ち勝つて、敵を城へは追ひ篭めたれども、城の構へきびしく岸高く切り立ちたれば、可打入便りもなく、可攻落様もなし。ただいたづらに屏を隔て掻楯を境うて、矢軍に日をぞ送りける。




寄せ手はますます勝つに乗って続いて城へ駆け入ろうとしました。敵は三つの城の木戸を開いて、同時に打ち出て、前後左右より取り籠めて散々に矢を射ました。森・高橋・三吉の兵百余人は、痛手を負い、石弓に打たれ、進み兼ねたのを見て、越後守(高師泰もろやす)は、「三吉を討たすな、あれに続け」と下知したので、山口七郎左衛門、赤旗・小旗・大旗の一揆が、千余騎抜き連れて([揃って刀を抜く])懸かりました。新手の大勢に攻め立てられて、敵が皆城中に入ると、寄せ手は皆逆茂木の際まで攻め寄せて、掻楯([垣根のように楯を立て並べること])掻いて立ち並びました。手合わせの合戦に打ち勝って、敵を城には追い籠めましたが、城の構えは厳しく岸は高く切り立っていましたので、打ち入る隙もなく、攻め落とす手立てはありませんでした。ただ徒らに塀を隔てて掻楯を境に、矢軍をして日を送りました。


続く


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by santalab | 2016-01-24 08:45 | 太平記 | Comments(0)

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