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「太平記」三角入道謀反事(その7)

その後越後ゑちごかみ石見勢いはみぜい相順あひしたがへて国中こくぢゆうへ打ち出でたるに、責められては落ち得じとや思ひけん、石見の国中に、三十二箇所さんじふにかしよありける城ども、皆聞き落ちして、今はただ三角みすみ入道が篭もりたる三隅城みすみじやう一つぞ残りける。この城山けはしく用心深ければ、たとひ力責めに攻むる事こそ不叶とも、たすけの兵も近国になし、知行の所領もなければ、いつまでかこらへて城にもたまるべき。ただ四方しはうの峯々に向かひ城を取つて、二年三年にも攻め落とせとて、寄せ手の構へきびしければ、城内の兵気たゆみて、無憑方ぞ思えける。




その後越後守(高師泰もろやす)は、石見勢を従えて国中に打ち出ると、攻められては落ちることもできぬと思ったのか、石見国中に、三十二箇所ある城は、皆聞き落ちして、今はただ三角入道(三隅兼連かねつら)が籠もる三隅城(現島根県浜田市)一つが残るだけでした。この城山は険しく守りは固く、たとえ力攻めに攻めることは叶わずとも、助けの兵も近国にはなし、知行の所領もなければ、いつまでも堪えて城に籠もってもおられまい。ただ四方の峯々に向かい城([敵の城を攻めるため、それに対して構える城])を取って、二年三年かかっても攻め落とせと、寄せ手が厳しく取り囲んだので、城内の兵気は萎えて、頼みになるとも見えませんでした。


続く


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by santalab | 2016-01-24 09:50 | 太平記 | Comments(0)

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