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「太平記」一宮並妙法院二品親王の御事(その4)

妙法院めうほふゐんはこれより引き別れて、備前の国までは陸地くがぢを経て、児島こじま吹上ふきあげより舟に召して、讚岐の詫間たくまに着かせ給ふ。これも海辺近き所なれば、毒霧どくむ御身ををかして瘴海しやうかいの気すさまじく、漁歌牧笛ぎよかぼくてきの夕べの声、嶺雲海月れいうんかいげつの秋の色、すべて触耳遮眼事の、あはれをもよほし、御涙を添ふるなかだちとならずと云ふ事なし。




妙法院(宗良むねよし親王=尊澄法親王。第九十六代後醍醐天皇の皇子)は兵庫で一の宮(尊良たかよし親王。第九十六代後醍醐天皇の皇子)と引き別れて、備前国(現岡山県東南部)までは陸地を経て、児島の吹上(現岡山県倉敷市下津井吹上)より船に乗って、讚岐の詫間(現香川県三豊市)に着きました。ここも海辺に近い所でしたので、毒霧が身を侵して瘴気([熱病を起こさせるという山川の毒気])はすさまじく、漁師の歌と放牧の笛が夕べに聞こえ、嶺の雲海に上がる月は秋の装いでした、すべて耳に触れ目にする度に、悲しみを催し、涙を添えないものはありませんでした。


続く


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by santalab | 2016-01-26 08:31 | 太平記 | Comments(0)

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