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「太平記」俊明極参内の事(その1)

去んぬる元享げんかう元年の春の頃、元朝げんてうより俊明極しゆんみんきとて、得智とくちの禅師来朝らいてうせり。天子ぢき異朝いてうの僧に御相看しやうかんの事は、前々さきざきさらになかりしかども、この君禅の宗旨にかたぶかせ給ひて、諸方しよはう参得の御心ざしをはせしかば、御法談ほふだんの為にこの禅師を禁中へぞ被召ける。事の儀式余りに微々ならんは、我がてうの可恥とて、三公公卿くぎやうも出仕のよそほひをつくろひ、蘭台金馬らんだいきんめ守禦しゆぎよの備へをきびしくせり。夜半に蝋燭ろつそくを立てて禅師被参内。主上紫宸殿ししんでん出御しゆつぎよ成つて、玉座に席を勧め給ふ。禅師三拝礼さんはいらいをはつて、かうねんじて万歳ばんぜいしゆくす。




去る元享元年(1321)の春頃、元朝より俊明極と申して、得智の禅師が来朝しました。天子([天皇])が直接異朝の僧に相看([対面])されることは、前々にはまったくございませんでしたが、この君(第九十六代後醍醐天皇)は禅の宗旨に興味を持っておられたので、諸方参得の心ざしがございましたので、法談のためにこの禅師を禁中へ招かれました。儀式があまりに質素なものであっては、我が朝の恥ともなるであろうと、三公([太政大臣・左大臣・右大臣。のちに、左大臣・右大臣・内大臣])公卿も出仕の装いで、蘭台([太政官])金馬(衛府?)も守りを厳しくしました。夜半に蝋燭を立てて禅師が参内しました。主上(後醍醐天皇)は紫宸殿([正殿])に出御されて、玉座に着かれました。禅師は三拝礼すると、拈香([香をたくこと])して万歳([長寿や末長い繁栄])を祝いました。


続く


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by santalab | 2016-01-26 08:40 | 太平記 | Comments(0)

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